中長期的にはより深刻な問題が考えられるという。
「選挙は、正統なプロセスによって一定期間民意を負託する先を選ぶ大切なシステムです。しかし、未来の有権者である子どもたちがこの光景を見てどう感じるか。とても、正統で神聖なプロセスには見えないでしょう。そうした感覚を抱かせること自体が民主主義の根幹を揺るがしかねません。対策を練らなければならない時期に来ています」(日野教授)
時代に即しているのか
今年は秋以降、3県(岡山、富山、栃木)の知事選が予定され、来夏には参院選、そして遅くとも来年10月までには衆院選が行われる。
主張の内容にかかわらず、政策を自由に発信できるのは民主主義の、そして選挙制度の大前提だ。また、ポスター掲示板の設置や政見放送などの費用を公費で負担する「選挙公営制度」は、資金力によらず立候補できるよう、そして選挙運動の機会均等のために運用されている。この原則と趣旨は守りつつも、一定の規制を設けることに猶予はないだろう。同時に、都知事選の場合で1万4千カ所に手貼りするポスターやテレビの放送枠を使う政見放送などが時代に即しているのか、検討すべき時にきている。(編集部・川口穣)
※AERA 2024年7月22日号