辞職することを表明し、会見に臨んだ片山副知事(7月12日)

維新からも「知事はおかしい」

 百条委員会で元局長のデータ開示を強く求めた維新の県議に聞くと、
「元局長がお亡くなりになられたことは、驚くばかりでご冥福をお祈りいたします。理事会の発言については非公開ですので、内容は差し控えます」
 と答えた。

 斎藤知事は7月10日の記者会見で、元局長が亡くなったことについて問われ、
「百条委員会への対応など心理的な負担、プレッシャーがあったものと推察されます。どのような心理的な負担があったか、現時点ではわからない」
「県政を立て直していくこと。そして、日々の業務をしっかり前に進めていくことが、責任の果たし方だと考えています」
 などと答えるにとどまった。

 県職員労働組合は10日、斎藤知事の県政運営は「もはや県民の信頼回復が望めない状況」だとして、
「知事としてとりうる最大限の責任をとっていただきたい」
 と知事に辞職を要求した。

 県政与党として支えてきた維新の中からも、
「やっぱり斎藤知事はおかしい。もう斎藤知事ではもたない。維新も決断すべき時期ではないか」
 と取材に対して話す県議が出始めた。

副知事は「5回、知事に進退迫った」

 さらに12日、斎藤知事の側近である片山安孝副知事が「県政の停滞、混乱を招いた」として辞職を表明した。

 会見した片山副知事は、
「知事も私と一緒に退職するお考えはありませんかと申し上げました。過去に4回と、昨日(5回目)、進退をお考えになりませんかと進言しました。知事は『県民の負託を受けた身なので任期を全うしたい』との返事でした」
 と語った。

 斎藤知事は同日夕の記者会見で、
「片山副知事の申し出はたいへん重い。一つの判断として尊重します。県職員との信頼関係を再構築し、立て直すのが私の責任の取り方」
 などと辞職を否定した。

 県職員、県政与党、副知事からも見放された斎藤知事。辞職のカウントダウンは始まっているようだ。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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