会見で厳しい表情を見せる斎藤知事(7月10日)
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 兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラなどを今年3月に告発した県西播磨県民局の元局長(60)が7月7日夜に死亡した。自殺とみられている。元局長は告発後、斎藤知事から「嘘八百」などと非難され、県人事課から懲戒処分を受けていた。県議会では調査特別委員会(百条委員会)を設置して告発内容の調査が始まったが、維新の議員の一部からは、元局長に対して厳しい声もあがっていた。

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 元局長は告発文書を報道機関や県議などにわたしていた。告発の内容は、斎藤知事のパワハラに加え、知事選での公職選挙法違反、県内企業からの贈答品の受け取り、阪神オリックスの優勝パレードでの不正行為など多岐にわたっていた。

 これに対して斎藤知事は、
「嘘八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格」
「被害届や告訴を含めて法的手続きを進めている」
 などと元局長を非難。県は元局長を停職3カ月の処分にした。処分理由には公用パソコンを私的使用したことも含まれていた。

 しかし、AERA dot.がこれまで報じてきたように、斎藤知事のパワハラを裏付ける証言が多く出てきている。他の疑惑についても真実性を認める証言がある。

 県議会は、告発内容の真偽をただすため、6月13日に百条委員会の設置を決めた。6月27日の第2回会合では、7月19日の委員会に元局長に証人として出席を求めることを決めていた。

 6月末に元局長に直接取材した際、
「百条委員会で語ることが兵庫県の未来のためになると信じている」
 と前向きに語っていた。

 その後、何があったのだろうか。

元局長が百条委に「申し入れ」

 元局長は7月初めに、弁護士を通じて百条委員会に対して「申入書」を出していた。

〈(百条委員会の)委員の一人から人事課調査にかかる資料はすべて開示されるべきだとの発言があった〉
 などと記され、内部告発と無関係の部分は百条委員会で公開しないように求める申し入れだった。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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