都知事選では動画やSNSを駆使した選挙戦を展開した

「老害」「アホばばあ」と誹謗中傷

 石丸氏の狙い通り、「恥を知れ!」というワードがテレビで大きく取り上げられると、“旧態依然とした市議会と闘う若き市長”として注目を集め、自身のXのフォロワーや同市の公式YouTubeチャンネルの登録者が爆発的に増えた。

 議会で石丸氏と市議たちが舌戦を繰り広げる様子は、SNSの人気コンテンツとなり、“切り抜き動画”となって拡散された。冒頭の市議・Aさんは、当時の石丸氏の様子をこう語る。

「少なくとも就任当初はここまで過激ではありませんでしたが、次第に自分に批判的な議員への攻撃がエスカレートしていきました。動画になった時に炎上するよう、議場内の状況を作っていくような印象です。YouTuberたちは、再生数を稼げるんだから当然食いつきますよ。でもそのせいで問題が起きても、石丸さんは『動画を作った人の責任』という姿勢を崩しませんでした」

 Aさんの言う「問題」の最たる例が、市役所や議会事務局に押し寄せる大量のクレームだ。石丸氏と対立する議員や市議会を批判する内容の電話、メール、手紙が毎日数十件届き、職員たちはその対応に追われて本来の業務に支障が出ていた。クレームの大半は、市外や県外から寄せられたものだったという。

 直接的な個人攻撃に遭う議員もいた。その一人が、石丸氏が2020年に、「恫喝(どうかつ)を受けた」として名指しした女性市議だ。その攻撃の様相を知るAさんはこう明かす。

「SNSで『老害』『アホばばあ』などと激しく非難されたり、彼女の友人までコメントでかみつかれたりしていました。後援会のFacebookは、『死ね』『殺す』といった過激なコメントが並んだせいか利用規約違反で凍結されていました。Googleマップに彼女の自宅が登録されて、そこに誹謗中傷のコメントが大量についたこともありましたね」

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