トミカ自動販売機:羽田空港第1ターミナル2階出発ロビーに設置されているトミカの自動販売機(c)TOMY

余った小銭で買える

 マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は、カプセルトイが日本みやげとしてインバウンド客に人気な理由として、以下の三つのポイントをあげる。

・LEFT OVER COINS……残った小銭を狙え!

・NOT BULKY……複数買ってもかさばらない!

・DURABLE……日持ちする!

「余った小銭で買える日本ならではの面白いものとしてピッタリな存在。加えてアニメキャラクターは、日本文化として世界中で人気が高く、関連した商品が多いことも売れている理由にちがいありません」

 西川氏は、日本は「LEFT OVER COINS」が生じやすい経済環境であることも理由としてあげる。

「他の国に比べて、屋台やお祭りの出店のみならず、まだまだ日本は現金社会です。そのため、インバウンド客の帰国時には小銭が残りがちです。お土産にもなるし、再両替の手数料を考えれば使い切ってしまった方がお得なんです」

円は世界最弱通貨

 現在カプセルトイの中心の価格帯は300円程度。その価格にも西川氏は注目する。

「日本円は今や世界有数の最弱通貨。円安ならぬ今世紀最低の『円弱』時代です。日本では30年もデフレが続いたため価格はあまり変わらず、円安でさらに割安になり、実質的には戦後の1ドル=360円時代よりも安くなっています。いわば、ブリキやセルロイドのおもちゃや人形、工芸品がスーベニア(お土産)として人気を呼んだオキュパイド・ジャパン(占領下の日本)の時代にらせん階段を一周回ったのだとも言えるでしょう」

 お手頃価格でコンパクトで精巧な商品といえば、タカラトミーが発売するロングセラーのダイキャスト製ミニカー「トミカ」もインバウンド客に人気だという。羽田空港第1ターミナル2階出発ロビーなどではトミカの自販機も設置され、インバウンド客が購入する姿も見られる。タカラトミートミカ事業部 ブランドマーケティング課課長の吉原有也さんはその品数とサイズ感を人気の理由としてあげる。

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