西武の黄金時代の選手たち。左から清原、石毛、秋山、デストラーデ

本拠地移転以降、初の「暗黒時代」?

 西武は1979年に埼玉・所沢に本拠地を移転以降、長期低迷する「暗黒時代」を経験してこなかった。80年代から90年代中盤には黄金時代を構築。86年から9年間指揮を振るった森祇晶監督の時代には、8度のリーグ優勝、6度の日本一を飾った。辻発彦、秋山幸二、清原和博、石毛宏典、伊東勤、工藤公康、渡辺久信、郭泰源、石井丈裕と、投打でオールスター級のメンバーがズラリ。スカウティング、育成能力に定評があり、主力選手が抜けても、若手が頭角を現した。

 その後も松井稼頭央(現監督)、中島宏之(現中日)、中村剛也、栗山巧、岸孝之(現楽天)、涌井秀章(現中日)と次々にスター選手を輩出。09年から9年間リーグ優勝から遠ざかった時期があったが、2位が4度、Aクラスが5度と低迷期ではない。

 だが、19年のリーグ優勝以降は状況が違う。21年に最下位、昨年は5位に沈むなどチームが明らかに弱体化している。秋山翔吾(現広島)、浅村栄斗(現楽天)、森友哉(現オリックス)、山川穂高(現ソフトバンク)と主力選手が次々に抜けていく中、若手が伸び悩んでチームの核になる選手が現れない。

「西武は同じ関東の球団でも東京ドーム、神宮、横浜スタジアムのように球場の立地が良いわけではない。それでも熱心なファンが球場まで足を運んで応援したのは、個性あふれるスターが多かったから。練習量に裏付けされた力強いスイングが伝統でしたが、今の選手たちからは失われている感じがします。ファンは一度離れると、なかなか戻ってきません。低迷期を味わった他球団は集客に苦労した時代があります。西武もそうならないためにはチーム作りの根底から見つめ直す必要があります」(前出のスポーツ紙デスク)

 球場に詰めかけるファンの存在は当たり前ではない。まだ60試合以上残っているペナントレースで、西武は今後に希望の光を見せる戦いができるだろうか。

(今川秀悟)

暮らしとモノ班 for promotion
いよいよ「Amazonプライムデー」開始!おすすめ商品やセールで得するために知っておきたいこと一挙紹介