「永世棋聖」の色紙を持って会見に臨む藤井聡太棋聖=2024年7月1日、名古屋市中区
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 注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2024年7月15日号より。

【貴重写真】和服じゃない!スマホ片手にデニム姿の藤井聡太さん

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 終わってみれば、盤石の防衛劇だった。そしてまたひとつ、将棋界に新たな金字塔が打ち立てられた。

 藤井聡太棋聖(七冠)に山崎隆之八段が挑戦するヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負の第3局は7月1日におこなわれ、100手で藤井が快勝。3連勝でシリーズを制した。

 藤井は2020年、17歳で棋聖位を獲得。そして今期で5連覇を達成し、21歳で「永世棋聖」の資格を得た。いずれも全タイトル戦を通じての史上最年少記録だ。局後、その点について問われ「意識していなかった」と答えたのもまた、いつも通りの藤井だった。

 これまでの永世棋聖資格者は大山康晴、中原誠、米長邦雄、羽生善治、佐藤康光という大棋士5人。藤井はそのリストに名を連ねた。

「もちろん光栄なことだと思っていますけど、同時に、今後の活躍がより問われるのかなと思っています」

 15年ぶりにタイトル戦に登場し、43歳での初戴冠を目指した山崎にも、ファンからは熱い声援が送られていた。

「もっともっと強ければ、将棋の楽しさは無限にあったのかなというのは感じました。改めてそういう気持ちにさせてもらったタイトル戦だったと思います」

 局後に山崎はそう語っていた。第3局は、山崎はベストを尽くせたという。若々しく独創的な「山崎ワールド」は健在で、だからこそタイトル戦の舞台に戻ってこられた。最後の藤井の壁が、あまりに厚かったということだろう。

 藤井は6月20日、伊藤匠に叡王位を明け渡し、八冠独占からは後退した。しかし棋聖を防衛して七冠は堅持。休む間もなく、7月6日開幕の王位戦七番勝負に臨む。こちらも防衛を果たせば5連覇で「永世王位」の資格を得る。早くも「永世二冠」となるのだろうか。(ライター・松本博文)

AERA 2024年7月15日号