2011年には今世紀最高の名馬と言っても過言ではないフランケルが欧州競馬を席捲した。春に英2000ギニーを圧勝したフランケルは、ロイヤルアスコット開催でのセントジェームズパレスステークスに出走。暴走にも思えるハイペースで飛ばして押し切ったレースは圧巻のひと言で、日本から参戦したグランプリボスを応援していた日本のファンや関係者の度肝を抜いた。
古馬になってからも圧勝の連続だったフランケルはキャリア終盤に10ハロンの中距離路線にも挑戦し、英インターナショナルステークスと英チャンピオンステークスを連勝した。16戦16勝でキャリアを締めくくった後も種牡馬としてクラックスマンやインスパイラル、アダイヤー、アルピニスタ、ソウルスターリングなど数々の活躍馬を輩出。今後も長く血統表の中に自身の名を残し続けることは間違いない。
2021年には米国のダート路線でフランケルをほうふつとさせる圧勝の数々を見せたフライトラインが台頭。そのキャリアは故障の連続ではあったものの、年末の短距離G1マリブステークスを11馬身半差で3連勝して表舞台に登場する。
故障からの復帰戦だった22年6月には初のマイル戦だったG1メトロポリタンハンデキャップもノーステッキで6馬身差の圧勝。さらに距離を10ハロンに伸ばしたG1パシフィッククラシックが彼のキャリアのハイライトだった。向こう正面で早くも先頭に立ったフライトラインはなんと19馬身1/4差で楽勝。しかもこの時の2着馬は同年のG1ドバイワールドカップを制した強豪カントリーグラマーだったのだから恐れ入るしかない。
引退戦となったG1ブリーダーズカップクラシックも当たり前のように8馬身差以上を付けて制したフライトラインは、その翌日に引退。6戦6勝の戦績を残して種牡馬入りした。
2023年には欧州でエースインパクトが無敗の凱旋門賞馬となった。フランケルの血を引くエースインパクト(父クラックスマンはフランケル産駒)はデビュー3連勝で臨んだ仏ダービーを制覇。夏の仏G2ギヨームドルナノ賞を勝って臨んだ秋の凱旋門賞では日本から参戦したスルーセブンシーズらを退け、ウエストオーバーを1馬身3/4馬身差の2着に従えて勝利し、これを最後に種牡馬入りした。