Nikita Bitch Project:1982年生まれ、アメリカ出身。バーレスクダンサー。2024年春、海外パフォーマーを招聘し、3都市で「The American Burlesque」4公演を開催(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 2024年春、全国3都市で「The American Burlesque」が上演された。主催者のニキータ・ビッチ・プロジェクトがバーレスクの意義を語った。AERA2024年7月8日号より。

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――会社員時代、好きなものや楽しいことを見失い、苦しんだ時期があった。そんな時、アメリカでバーレスクショーを見て衝撃を受けた。

 圧倒されたのは、空間の中だけで共有される強いエネルギーでした。久々に心からワクワクするものを見た感覚があり、とにかく楽しかったんです。

――2011年、バーレスクダンサーとしてデビュー。ダンサーが衣装を脱ぎ捨てていくバーレスクは、「煽情的」「性風俗」と誤解されることもある。だが、ステージ上で向き合うのは常に「自分」だという。

主導権を握るのは自分

 例えば「顔が小さい方が可愛い」という基準があると、誰かより顔が大きい人はコンプレックスを持ちます。他者という比較対象があるゆえに生まれる価値観に振り回され、「自分には何が足りない」ということばかりに意識がいってしまう──。バーレスクをやる前の私もそうでした。他者との比較で自分を見ていれば、終わりのない苦しみが付きまといます。

 バーレスクで主導権を握るのは、あくまで自分です。自分の意思で演目を作り、自分のタイミングと見せ方で、観客との掛け合いを楽しみながらショーを引っ張っていく。確かに服は脱いでいきますが、そこには「脱がされている意識」ではなく、自分たちを抑圧するものを脱いでいく感覚があるんです。

――演目では「体」を見せることになる。自分の体に自信が持てず、悩んだ時期もある。

 十数年前の日本はボディシェイミングの風潮も根強く、「そんな体を晒して」と批判されるのではという恐怖もありました。自分の体がアメリカ人と比べて貧弱だと太ろうとしたこともあります。でもそれは、「私の体は私のもの」というバーレスクの精神と矛盾するんですよね。

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