
「自分が持っているものは?」「本当にしたいパフォーマンスは?」を追求していった結果、生まれたのが私のバーレスク。
それを受け入れてもらえたことが自信になって、「私は私のままで喜んでもらえるんだ」と思えたんです。
――「女性はこうあらねばならない」という抑圧からも解放されたという。
学生時代、モテを意識して育ちましたし、雑誌には「どうすればモテるのか」といった特集が並んでいた。痴漢にあったことも、セクハラやパワハラを受けたこともあります。「女性であること」への過剰な期待や抑圧の中にいた面がありました。
バーレスクは、私にとって、他者との比較による不安から解放され、自分の体や人生の主導権を取り戻していく行為です。基準を自分に置いて、「自分の可能性や魅力は何か」「自分がやってきたことは何なのか」に目を向けることが解放の一歩でした。
多様性を感じてほしい
――今年4月、海外パフォーマーを招聘し、全国4カ所で「The American Burlesque」の公演を行った。ボディポジティブの概念は広まったとはいえ、日本にはまだ呪縛が多いと感じる。
民族多様性が少なく均一性が高い中で、生きづらさが強くなるのは日本の難しさだと思います。自分と全く違う人に出会うことで自由になれるし、美の基準を増やしていくことで自ずと抑圧は薄まっていく。
だからこそ、バーレスクを見て多様性を感じてほしい。今後もアメリカのダンサーを招聘していきたいと思っています。
(構成/ライター・小松香里)
※AERA 2024年7月8日号