パフォーマンスするNikitaさん。2024年の公演は、アメリカン・バーレスクの上陸という意味でも、東京入管が興行ビザを出したという意味でも快挙だった(写真:Nikitaさん提供)

「自分が持っているものは?」「本当にしたいパフォーマンスは?」を追求していった結果、生まれたのが私のバーレスク。

 それを受け入れてもらえたことが自信になって、「私は私のままで喜んでもらえるんだ」と思えたんです。

――「女性はこうあらねばならない」という抑圧からも解放されたという。

 学生時代、モテを意識して育ちましたし、雑誌には「どうすればモテるのか」といった特集が並んでいた。痴漢にあったことも、セクハラやパワハラを受けたこともあります。「女性であること」への過剰な期待や抑圧の中にいた面がありました。

 バーレスクは、私にとって、他者との比較による不安から解放され、自分の体や人生の主導権を取り戻していく行為です。基準を自分に置いて、「自分の可能性や魅力は何か」「自分がやってきたことは何なのか」に目を向けることが解放の一歩でした。

多様性を感じてほしい

――今年4月、海外パフォーマーを招聘し、全国4カ所で「The American Burlesque」の公演を行った。ボディポジティブの概念は広まったとはいえ、日本にはまだ呪縛が多いと感じる。

 民族多様性が少なく均一性が高い中で、生きづらさが強くなるのは日本の難しさだと思います。自分と全く違う人に出会うことで自由になれるし、美の基準を増やしていくことで自ずと抑圧は薄まっていく。

 だからこそ、バーレスクを見て多様性を感じてほしい。今後もアメリカのダンサーを招聘していきたいと思っています。

(構成/ライター・小松香里)

AERA 2024年7月8日号

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