早いもので、2024年も折り返しです。1月~6月にAERA dot.に掲載され、特に多く読まれた記事をジャンル別に、ランキング形式で紹介します。社会関係の記事の6位は「『私の精子でぼろ儲けしたのです』 97人の子が誕生 33歳白人男性の精子はなぜ『大人気』だったのか」でした(この記事は4月21日に掲載したものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
【写真多数】提供した精子で生まれた子どもたちと交流するディランさん
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生殖補助医療が進んでいる。学生時代に精子バンクに精子を提供していたディラン・ストーン=ミラー(33/以下、敬称略)には、彼の精子で生まれた子どもが97人以上いるという。子どもがいることを知ってから、ディランの人生は一変した。一体、何が起こったのか。
「子どもを授けてくれてありがとう」
2020年10月のある日、新しい職場の初日だった。
コロナ禍で、ディランはマスクをつけてオフィスに入り、新しい同僚やクライアントに挨拶をした。30分ほど経った頃、インスタグラムに、まったく知らない女性からメッセージが届いた。
“I want to thank you for the gift of the children.(子どもを授けてくれてありがとう)”
一瞬戸惑ったが、すぐに意味がわかった。スマホで彼女のプロフィルをタップすると、自分とよく似た女の子の写真が出てきたのだ。
「見た瞬間、自分の子だとわかりました。その瞬間気持ちが込みあがってきて、涙が出そうになりましたが、新しい職場の初日で涙を流すと奇人と思われるので必死に涙をこらえ、平静を保ちました」
自分の精子で子どもを産んだ40人の母親たち
午後、ディランは彼女にメッセージを送った。すると、彼女は「40人の母親」と連絡を取り合っていることがわかった。その40人は全員、ディランの精子を使って子どもを作ったという。
ディランは精子提供の際、〈オープンID〉を選んでいた。子どもの出自を知る権利を尊重したためだ。
「最初の子どもが18歳になるまで、つまりあと10年間は連絡が来ないと思っていました」
なぜ、予想より早く連絡があったのか。ディランは、その女性にどうやって自分を追跡したのか聞いた。すると、精子バンクから提供された数少ない情報からたどったという。ファーストネーム、出身都市、両親の仕事だ。
ディランの父親は犯罪心理学者で、アトランタでその専門家をリサーチすると、父親の写真が見つかった。女性はその父の目を見て、精子提供者はその息子だろうと認識したという。フェイスブックで父親を見つけると、そこにディランもつながっていた。女性は、ディランのインスタグラムを数カ月フォローしていたという。