大活躍で日本人投手の評価を上げている今永昇太(USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
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 早いもので、2024年も折り返しです。1月~6月にAERA dot.に掲載され、特に多く読まれた記事をジャンル別に、ランキング形式で紹介します。スポーツ関係の記事の1位は「「次の今永を探せ!」メジャーが“草刈り場”にする日本球界で『佐々木朗希より欲しい』投手とは」でした(この記事は5月2日に掲載したものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【写真】メジャー関係者が明かす「佐々木朗希より欲しい」投手がこちら

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 ドジャースに移籍した大谷翔平が話題のメジャーリーグで、強烈なインパクトを与えている日本人投手がいる。DeNAからポスティング・システムでカブスに移籍した左腕・今永昇太だ。
 

 4月26日(現地時間)のレッドソックス戦では7回途中まで5安打1失点、7奪三振の快投で4勝目をマークした。いまだ負け知らずで、防御率は0.98(記録は4月30日現在)。

 メジャーを取材するスポーツ紙記者は、こう証言する。

「今永は熱狂的で知られるカブスファンの心をがっちりつかんでいます。地元メディアは『イマナガを獲得できたことは最大のファインプレー。彼はエースになれる』と絶賛しています」

 今永の直球の平均球速は140キロ台後半だが、27回2/3で28奪三振、奪三振率9.11をマークしている。ストライクゾーンに直球をどんどん投げ込むと、打者のバットが空を切る。昨季、DeNAで自身初の最多奪三振のタイトルを獲得したが、その投球は米国でも十分に通用している。

剛速球がなくてもメジャーで通用する

 メジャーを取材する通信員はこう分析する。

「直球の質が非常に良いことが活躍のポイントだと思います。MLBが公表しているデータ解析システムのスタットキャストによると、今永の直球の平均回転数は2400を超えている。これは昨年の大谷翔平の直球の平均回転数2260を上回ります。この数値が高いほど、初速と終速の差がないため、打者からは球が伸びて浮き上がるように見える。直球の質が良いことに加え、制球力が抜群に良いことも大きな強みです。今永は捕手が要求する高さ、コースにきっちり投げられる。特に、メジャーではフライボール革命で長打力を重視してアッパースイングの打者が多い中で、高めの直球が効果的です。打者の視線が上がることで、チェンジアップ、スライダーも効果的に使えます。剛速球がなくても、球質と制球力を磨けばメジャーに通用する。この投球スタイルは他の投手も参考になる部分が多いと思います」

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「こんな投手はメジャーにもなかなかいない」