「大谷翔平を超える逸材」とも評価される佐々木朗希

 オリックスの絶対的エースとして活躍し、昨オフにポスティング・システムでドジャースに移籍した山本由伸も、日本で投手タイトルを総ナメにしてきた本来の姿を取り戻しつつある。メジャー初登板となった3月21日のパドレス戦では1回5失点KOを喫したが、その後の5試合の登板では5イニング以上を投げ切り、防御率3.54まで改善した。

“右腕”に多い注目選手

 昨年のWBCでは日本の強力な投手陣が世界一の原動力になった。現在、メジャーのスカウトや編成担当が、NPBの試合を視察する姿が日常の風景になっている。「次の今永を探せ」とばかり、バックネット裏から熱視線を送っているのは各球団の主力投手たちだ。メジャーが注目するのは、どの選手だろうか。

 今永は左腕だが、これまでの日本人メジャーリーガーを振り返ると、右腕の活躍が目立つ。メジャー挑戦の道を切り拓いた野茂英雄を筆頭に、黒田博樹、上原浩治、岩隈久志、田中将大、ダルビッシュ有……。

 左腕が相対的に少ないことも影響しているかもしれないが、阪神のエースとして活躍した井川慶はメジャー通算2勝に終わり、ソフトバンクで最多勝のタイトルを取って渡米した和田毅も相次ぐ故障に見舞われ、メジャーでは通算5勝に終わった。現役左腕ではブルージェイズの菊池雄星がいるが、メジャー5年間で2ケタ勝利は昨季のみ。150キロを超える直球がいとも簡単にはじき返される光景は日本ではあまり見られなかった。

 だからということでもないだろうが、メジャーが注目する日本人投手には右腕が多い。

 選手の代理人を務める関係者は、昨年12月のウインターミーティングに参加。NPBの日本人投手で最も注目度が高かったのは佐々木朗希(ロッテ)だったという。

「直球の平均球速が160キロ近くで、140キロを超えるスライダーとフォークを操る。こんな投手はメジャーでもなかなかいない。米国メディアでは『大谷翔平を超える逸材』と評価されています。今年は三振をなかなか取れていないが、長いイニングを投げ切るために色々模索している部分があると思う。まだ開幕して1カ月だし、これからどんどん良くなるでしょう」

 佐々木は昨オフにポスティング・システムによるメジャー挑戦の可能性が報じられたが、ポスティングは球団の理解を得る必要がある。佐々木は史上最年少の完全試合や13者連続奪三振のプロ野球記録など、投手としての能力は申し分ないが、ここまで規定投球回数に到達したシーズンが1度もなく、2ケタ勝利を挙げた実績もない。

 山本、今永はエースとしてチームに長年貢献したことでメジャー挑戦の夢を実現している。佐々木も海の向こうで躍動するのは、日本球界で確固たる実績を築いてからになるだろう。

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「最も完成度が高い」と高評価の投手は…