『渚のラブレター』は、今回の編集部のアンケートでは16位だった。現在行われている沢田研二の全国ツアーでも歌われたとX(旧ツイッター)などのSNSに投稿があり、それを見たファンが歓喜していた名曲だ。
スージー鈴木氏は「“アルバム”バージョンと明記してください!」と念押しする。
シングルバージョンは編曲の伊藤銀次がアレンジし、レトロな遊び心のあるサウンドなのだが、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』に収録されているバージョンは英国・ロンドンで録音され、シンプルでストレートなバンドサウンドに仕上がっているという。
「その中で、沢田研二の声が、ひたすら素晴らしい!」
と、スージー鈴木氏は強調する。
「キーがCで想定されていた曲なのですが、間違えて全音上のDで演奏してしまったらしく、つまり事前の想定よりも高い音域なんですが、見事に歌いこなしています。私は何回も聞いていますが、沢田研二のオールキャリアの中で、個人的にはベストトラックだと思います。
沢田研二は70年代後半から歌がグッと上手くなって、だんだんと細い声から太い声になっていくんです。『渚のラブレター』はちょうどその中間なんですね。繊細さとロックっぽい野太さがうまく交じり合った見事なボーカルです」
上位の3曲だけでも、これほどまでに語れる名曲がある沢田研二は、やはり稀有のスーパースターだ!
(AERA dot.編集部・太田裕子)