先週に多く読まれた記事の「見逃し配信」です。ぜひ御覧ください(この記事は「AERA dot.」で2024年6月27日に配信した内容の再配信です。肩書や情報などは当時のまま)。
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6月25日に76歳の誕生日を迎えた沢田研二。半世紀以上にわたる歌手活動で世に送り出してきた500を超える楽曲の中で「究極の一曲」はどれか、AERA dot.編集部がアンケートを実施。「時の過ぎゆくままに」「勝手にしやがれ」「カサブランカ・ダンディ」がトップ3に選ばれた。なぜ、それぞれの曲はファンの心をつかんだのか、人気音楽評論家のスージー鈴木氏が紐解いた。
AERA dot.編集部では「読者が選ぶ沢田研二の『後世に残したい一曲』」と題して、沢田研二の数ある名曲の中から「究極の一曲」をファンに聞いた。上位の3曲は以下の通りだ。
回答数は1346人で、男女比は男性40.6%、女性58.5%。回答者の年代は60代が48.9%と最も多く、次いで50代が25.4%だった。
この結果について、音楽評論家のスージー鈴木氏は「予想通りですよね」と話す。
「男女比は少し女性が多く、年齢層も50~60代が多く、沢田研二をよく知っていらっしゃる世代。沢田研二の全てのキャリアの中で最も売れた『時の過ぎゆくままに』が1位で、1977年の第19回日本レコード大賞を受賞した『勝手にしやがれ』が2位と続きます。まさに沢田研二が歌謡界を席巻した70年代後半をリアルタイムで知っている方たちが選んだらこうなるだろうと、とても納得できる結果だと思いました」
いま聴いても本当にカッコいい
上位3曲で過半数を占め、「やはりこの曲」という結果だったが、スージー鈴木氏はそれぞれの楽曲の魅力をこう話す。
まず、1位だった「時の過ぎゆくままに」は累計91.6万枚を記録し、沢田研二のシングルの中で最も売れた曲だ。
「そもそも一番売れた曲であるのと、歌謡曲とフォークの中間=“フォーク歌謡”というのでしょうか、作詞は阿久悠で作曲が大野克夫なのに、まるで、当時のフォークソングの旗手=吉田拓郎が作ったような曲。フォークブームにしっかり照準を合わせ、その波を逃さずに追い風とした、当時の渡辺プロダクションの勢いや時代性も感じます」