国産SNS「mixi」を運営するMIXIは、ゲームやスポーツ・写真共有アプリなど幅広いサービスを提供している。同社を率いる木村弘毅社長の一貫した屋台骨とは。AERA 2024年7月8日号より。
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会社設立から今年で25年、mixi誕生から20年。同社はいま、「なつかしいSNSの会社」というイメージから脱却しつつある。20代の担当カメラマンは取材前、こう言った。
「モンストの会社ですよね。僕の青春です」
モンスターストライク、略してモンストは13年にリリースされたスマートフォン用ゲームアプリ。最大4人まで同時に遊べる協力プレイのシステムが大ヒットし、一時は最終赤字に転落していた同社のV字回復を牽引(けんいん)、今も収益を支えている。開発したのは08年に入社し、18年から同社の社長を務める木村弘毅さん(48)を中心とした3~4人の小さなチームだった。
課金で稼ぐオンラインゲームは一般的に、見ず知らずのプレーヤー同士を対戦させ、双方に勝つためのアイテムを売るのがマネタイズの基本だ。一方、モンストは友人ら最大4人のチームでクエストに挑戦するが対人戦の要素は薄く、「札束の殴り合い」は起こらない。収益面の成功はあり得ないと疑問視する声もあったというが、木村さんはこう言う。
「親しい仲間とコミュニケーションを取れるツールにこそ、勝機があると信じていました。モンストはゲームですが、コミュニケーションツールです。クラスの仲間と一緒に遊べる場をつくるのがポイントでした。友達を誘い、その人がまた友達を誘って、と圧倒的なボリュームになるんです」
屋台骨は一貫している
リリース後、忘れられない光景があるという。TwitterなどのSNS上に、多くのユーザーがプレイ画像をアップしていた。ゲームの画面キャプチャではなく、友人らと集まって画面を覗きながら一緒にモンストで遊んでいる写真だった。これをみたとき、「成功を確信した」。モンストのユーザー数は口コミで増え続け、売り上げも急上昇した。誕生3年後の16年3月期には売上高2千億円を突破している。