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 鳥博士になる夢を持つ小学生の娘の強い希望で飼い始めたオカメインコ。写真は、その大事な鳥を失って1年後の昨年、その後任としてわが家にやってきたガリレオ(1歳、雄)である。
 ネズミガシラハネナガインコ、別名セネガルパロットという珍しい種類の鳥で、20年以上生きるという。
 鳥のいない1年間にはずいぶん葛藤があった。
 あんなに愛していたオカメの病は気がついた時には既に重く、あっけなく旅立ってしまった。新しい鳥を迎えれば、また同じ悲しみを経験するかもしれない。
 しかし、鳥との日々を思い出せば思い出すほど、あのモフモフな羽毛が恋しい。誰もいない平日の昼下がり、また肩に鳥を乗せ、一人まったりと過ごしたい──。
 娘に負けず劣らず、私も鳥の魅力にはまっていた。
 すべての責任は私が持つということで迎えたのが、このガリレオである。
 さぞ充実した日々だとお思いだろうが、予想に反して、凶暴な鳥であった。
 前の鳥の穏やかで優しい性格とは違い、本能のままで野性味あふれる気質なのである。とりあえず私が一番愛されている。「パプパプ」と謎のガリ語で私に甘え、耳穴をなでられるとうっとりと目を怪しく輝かす。
 だが他の家族には攻撃的で、隙あらば黒光りした鋭いくちばしで噛む。どこからこんな力がと思うほど痛い。人間が鳥を相手に本気で怒る光景はかなり滑稽だ。
 種類によって気性が違い、さらには個々の性格の違いがある──2羽目で鳥に対する認識が深みを増したのは確かである。
 怒りや愛を伝え、喧嘩をしかける。「ガリガリ、ガリちゃん」と可愛らしい寝言も言う。そして人間にはない美しい羽毛と飛翔。傷だらけの手に乗せて観察する娘の「夢」にかけたいと思わせてくれる希望の星だ。

(牧野英里さん 神奈川県/43歳/主婦)

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