三井住友銀行の工藤禎子さん(撮影/写真映像部・松永卓也)
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今の時代にフィットした生き方や働き方の先にある女性リーダー像って? そんなテーマを掲げて編集長の鎌田倫子が女性リーダーにインタビューする連載。2人目は三井住友銀行副頭取の工藤禎子さんにご登場いただいた。

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大学卒業後、女性総合職1期生として入行した。女性がナンバー2のポストに就くのは3メガバンクで初めて。トップランナーとして走り続けてきた女性だが、「ガラスの天井を打ち破ろうと戦ってきたわけじゃないんです」と物腰は柔らかく、「失敗から学んだことが多かった」と素直に打ち明ける。前編では、工藤さんの職業観を形作った経験を聞いた。

 ――銀行といえば、日本的な年功序列型組織の典型というイメージです。そういった組織のナンバー2、代表権を持つ立場に女性が就いたことは話題になりました。工藤さん自身は、どのように受け止めましたか。

 工藤禎子(以下、工藤):女性ということってまだニュースバリューがあるんだと正直、驚いています。同時に、銀行は世間から相当保守的に見られているのだとも改めて認識しました。

今の時代、女性の執行役員も珍しくないですし、トップになったわけでもないですし、注目されるのはなんだかむず痒いな……と。ガラスの天井を打ち破ろうと戦ってきたワケではないですし、リーダーを目指して仕事をしてきたのでもないのです。仕事が好きで、仕事とは戦ってきましたが。

  女性だからというのではありませんが、役割の重みは感じています。代表権があることもあって、会社の公人としてのふるまいは意識します。

 ――女性総合職1期生です。支店勤務後に、国際業務部へ。そこでプロジェクトファイナンス(事業融資)に出合ったそうですね。すぐに、インフラ整備や、クリーンエネルギー事業など海外での大型プロジェクトを任されたのでしょうか。

 工藤:実は、最初はなかなか海外出張に行かせてもらえなかったのです。海外での仕事は20代後半からでした。

初めての女性総合職ということで、純粋に心配してくれていたのですが、例えば、出張の日程に香港の旧正月が重なると「人の移動があるから危ない」と許可されなかったこともありました。育てようという気持ちがあったからだと、理解していますが、あの頃はずっとディール(取引)がやりたくて、ディールをやっている周囲がうらやましかった。

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貧乏くじを引いたとは思わないけれども……