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工藤:現場を見ることですね。
地下200メートルの採掘場所を実際に見に行きました。地下に潜ると、あたりは真っ黒で、長靴を履いていた足元がずぶずぶと水に沈んでいく。そんな中で屈強なオーストラリア人が働いていました。いったん地下に潜ると10時間は外に出てこれない。横穴でお昼寝をしている姿も目にすることもありました。
また彼らは家族と過ごす時間も限られているそうです。炭鉱がある場所は人が暮らす町からは離れています。1週間のうち、炭鉱とその周辺で4日間過ごし、残りの3日を家族が待つ町で過ごすという働き方でした。
こんなに厳しい労働環境にいる従業員をマネジメントするのは難しいことだし、労働者がストライキを行うのもわかるし、彼らが要求することにも理があるなと。崩落やガス爆発のリスクがあるような場所で働いていますから。実際、労働争議でオペレーションがしょっちゅうとまっていたのです。そのころ、石炭の価格も低いことも事業には影響しました。
でも現場に行く前は、「もっとやりようがあるんじゃないか」と私自身が思っていたんです。それが、足を踏み入れてみて、これは相当たいへんな世界だなということがわかりました。出資社である日本の企業は手を尽くしてくださった。これ以上は日本の企業ではなく現地の方にやってもらうのがベターだろうと現場をみて理解したのです。
紙の上で考えているだけではわからないことがあるんですね。このプロジェクトを通じて、体感するって大事だと気づきました。精神的には苦しかったけれど、失敗は私に学びをくれました。
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