企業が発表した今期の業績予想は、慎重な見積もりが多いと言われる。市場の予想より「保守的」で、今後、売上高や利益の予想を上方修正するとみる関係者は少なくない。そこで株式の専門家に上方修正が期待される銘柄を教えてもらった。
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今期の業績予想は特に慎重
国内企業の今期の業績予想について、アイザワ証券投資顧問部ファンドマネージャーの三井郁男さんはこう話す。
「もともと期初の業績予想は保守的であることが多いのですが、今期は特に慎重です。会社予想ベースでは上場企業全体の2025年3月期の最終利益は前の期に比べて2%減の見通しで、同5%増を見込む市場の予想との乖離(かいり)が例年よりも大きい」
今期に減益を見込むのは、自動車や鉄鋼など製造業が目立つ。特に前期に好調だったトヨタ自動車が保守的な見通しを示した影響が大きい。会社予想では25年3月期に最終利益が前期比約28%減の3兆5700億円となり、前期に比べ約1.4兆円も減る。
「トヨタが全体に占める割合は大きく、同社を除くと今期の製造業は減益から増益の見通しになるほどです」(三井さん)
予想を修正する企業が相次ぐのでは
非製造業でも、人手不足が課題の物流や、前期に電気代値上げの恩恵が大きかった電力会社が保守的な見通しを示している。
「今期は前期に追い風となった円安の業績押し上げ効果を見込まず、欧州や中国の景気動向を警戒する企業が目立ちます。でも、欧米や中国の景気は会社が想定しているほど悪くはならず、業績予想も少しずつ市場の予想に近づいていくのではないでしょうか」(同)
三井さんは3月期企業の第1四半期(4~6月)決算や、中間期(4~9月)決算が発表される7月や10月前後のタイミングで、業績予想を修正する企業が相次ぐとにらむ。
では、どんな企業が業績予想を上方修正すると考えられるか。三井さんが挙げた銘柄が次のページの表だ。