「足元の業績が過去の水準に比べてすでに上振れているところや、売上高や利益の予想に対して高い進捗(しんちょく)率の企業、さらに業績予想についての過去の傾向やマクロ環境への見方などを踏まえ、予想が明らかに慎重すぎると思える銘柄の中から、上方修正が期待できる銘柄を選びました。また、新NISA(少額投資非課税制度)で長く保有することなども想定し、来期以降も成長が継続するかどうかも加味しています」(同)
途切れることのない需要
このうち、東鉄工業は線路のメンテナンスなど鉄道関連の工事に強い建設会社だ。筆頭株主のJR東日本からの受注が多い。今期(25年3月期)は売上高が前期比3.6%増の1470億円、最終利益が同8.5%増の90億円を見込む。
会社予想でも増収増益の見通しだが、「建設業界は建設資材の高騰や建設コストの上昇が逆風ですが、鉄道工事は耐震化を含めてメンテナンスの需要は途切れることがありません。一定の受注量は確保できます。特に東鉄工業の場合、JR東日本などへの値上げ要請が認められ、利益率の改善も期待できます。今期は会社計画を上回る可能性が高い」(同)
シンプレクス・ホールディングスは、大手金融機関向けにシステム構築をコンサルティングから開発・運用まで手がける。今期(25年3月期)の業績は増収増益の見通しの会社計画をさらに上振れるとみている。三井さんは言う。
「金融機関の『DX(デジタル・トランスフォーメーション)』に向けた投資需要は旺盛で、新規顧客の獲得を含めて受注増が見込まれています。特に今期からは私設取引所やデジタル庁関連といった大型の開発案件が本格的にスタートし、業績を押し上げる見込みです」
独立系メーカーの強み
ジャパンエレベーターサービスホールディングスはエレベーターのメンテナンス大手で、売上高、利益とも過去最高の更新を続けている。今期(25年3月期)も売上高は前期比11.3%増の470億円、最終利益は同12.9%増の51億円の見通しだ。
「独立系であるため国内の主要メーカー各社の機種に対応できる点や、メーカー主導の価格設定にとらわれない点が強みです。M&A(合併・買収)や採用にも積極的で、契約数は一段と増えるとみています。また、期初の会社計画は慎重に見積もる傾向があるようです。実際に前期(24年3月期)は売上高、利益とも修正予想を上回って着地しました」(同)