何をもって「一旗あげる」なのか
斎藤:昨今のコンプライアンスというよりも、僕らは最初からハゲという要素をどう扱えば笑ってもらえる商品になるのか。そこをとことん考えてきました。ハゲというだけの要素だと安易で乱暴な味なので、そこをいかに商品にするのか。なので、あらゆる角度からハゲを乱暴に考えてきたことはないんですけどね。
以前「THE MANZAI」の時にビートたけしさんに言っていただいた「オレはハゲは隠すほうが好きなんだよなぁ」という言葉も強く意識はしています。
ハゲを大っぴらに見せて「どうだ!」と言うよりも、隠しているものをさらされる面白さ。そこがあるのも事実でしょうし、本当に繊細で難しいところですけど、一つのルールで縛るのではなく、その都度精査するしかないのかなと思っています。
たかし:やっぱり、そこを隠してる●●さんをイジるほうが面白いもんね。
斎藤:それをまた直接言っちゃうと話が違うんだよ(笑)。
20年、いろいろなことがありましたし、いろいろな思いとも向き合ってきましたけど、やっぱり今はお笑い最高だとつくづく思っています。
次の節目は30周年ということになるんですよね。ただ、そこをきちんと迎えるためには、ここからさらに「一旗揚げる」ことが必要だと思っています。幸い「M-1」は「一旗」になったのかもしれませんけど、いつまでもそれだけではダメですから。
何をもって一旗なのか。ここは本当に難しいんですけど、ここまでくると、さすがに自己分析というか、自分が何が得意で何が苦手なのかが見えてくるわけです。
ゴリゴリのトークとか、そういうところでトップに登り詰めるのは難しい。とはいえ、お笑いの能力を競う場から逃げたくはない。だからこそ、それ以外の要素も持っておかないと自分はダメなのかなとも思うんです。
そうなると、それこそミュージカルも自分の武器だと思いますし、例えば海外のミュージカルの世界で賞をもらって逆輸入的に日本にやってきて、劇場でとことんバカみたいなことをやるとか(笑)。そういうことも模索すべきなのかなとは思っています。