「M-1」チャンピオンとしての振る舞い
たかし:ネタを作るにしても、若手の空気を吸いながら作る。そこを考えてやっていた部分はあると思いますね。
斎藤:周りの空気の作用というのはあるだろうしね。
たかし:もはや後輩がネタ書いてるようなところもあるでしょうしね。
斎藤:そうなると、また話が変わるけどね(笑)。
でも、この“チャンピオンとしての振る舞い”については本当に考えました。歴代の優勝者の方々みたいに横綱相撲を取るタイプではないですからね。どっしりと受け止めるというよりは、舞の海さんみたいなスタイルだと思いますし(笑)。
「M-1」チャンピオンとして、呼んでいただくお仕事もたくさんありました。もちろん、それも本当にありがたいんです。ありがたいことなんですけど、僕の中で「もういいじゃないか」と思っている自分がいるのも事実なんです。あの日の自分と今の自分は違うんだからという。
斎藤:これもね、決して何かを否定するということではなく、自分の感覚として「M-1」で優勝したことは過ぎたこと。“応仁の乱”じゃないですけど、そういう過去にあったことっていうのが自分の思いでもあるんです。
優勝したことによって、もう食いっぱぐれはないという安心感はありました。
たかし:変に斜に構えて言うんじゃなく、あの日たまたま取れた。運が良かった。そう思ってもいます。
運は大事だと思いますし、それはそれでうれしいことなんですけど、あの日出場した10組で“ネタのじゃんけん”をやって勝ったのが僕たちだった。そういう感覚もあるんです。