カリスマミュージシャンも洗脳に

 これまでの裁判では、aikoが寄せる信頼を巧みに利用しながら、千葉被告は音楽制作だけでなく、ライブのセットやグッズに至るまで自分の管理下に置くことで背任行為に手を染めていた可能性が指摘されている。

 そしてaikoが証言台で口にした「洗脳されていた」「支配下にあった」といった衝撃的な発言――。実は、これまでも芸能界や音楽業界では“洗脳騒動”がたびたび話題になってきた。スポーツ紙の芸能担当デスクはこう振り返る。

「近年では、人気女優が事務所独立時に演出家の女性から洗脳されているという一部報道が話題になりました。人気音楽ユニットの女性ボーカルも、かつて声の不調に悩まされていた時に出会った気功師夫婦に心酔し、作詞を一緒にしたり、信奉者たちが暮らすマンションに移り住んだりと、かなり入れ込んだ時期があったと報道されました。また、最終的に自己破産にまで至った『X JAPAN』のToshiさんの洗脳騒動は世間の大きな注目を集めました」

 Toshiはロックオペラで共演し、後に結婚した元妻からの誘いでヒーリングアーティストを名乗る男性のセミナーに参加したのをキッカケにこの男性に傾倒。

 セミナーでは、自分の生い立ちを語り、自らが負ってきた心の傷をさらすよう迫られ、“化け物アゴ男”などと罵倒されながらも信じ続けた。家族やバンドとも距離を置き、セミナーの広告塔ともなりCDを売りながら地方をまわる日々を送る中、10億円以上の私財をつぎ込んだ揚げ句、最終的には3億円近い負債を抱えて自己破産した。

 これを機にようやくこの男性やセミナーとの決別を宣言し、14年には「洗脳 地獄の12年からの生還」(講談社)という手記で自ら洗脳騒動を総括した。

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アーティストは弱音を吐きづらい