心の隙を突かれて利用される

 社会的に成功を収め、富や名誉も獲得したはずの人気芸能人たちが、なぜ特定の人物に“洗脳”されるような状態に陥ってしまうのか。

 歌手やミュージシャンも所属する芸能事務所のマネジャーはこう明かす。

「芸能の仕事は特殊で相談できる人も少ないですし、不安定な部分も大きく、仕事現場で知り合う“同僚”の多くは突き詰めればライバルという状況です。いくら仲が良いと言っても、たわいもない話はできても、悩み事や深刻な話はしにくいでしょう。とくに歌手やアーティストは、フェスや音楽番組などで他のアーティストと仕事をともにすることもありますが、基本的には個々での活動がメインです。周りの人間関係も限定的になりがちなんです」

 そのうえで、芸能人は人気が出るほど“ジレンマ”にさいなまれる実態があると明かす。

「売れっ子になればなるほど、スタッフなど周囲の人たちからは腫れ物扱いされますし、ほめられたり、おだてられたりすることはあっても、叱ってくれたり、忠告してくれたりする人はほとんどいない。歌手やアーティスト本人も、周囲を不安がらせるような弱音や愚痴は吐きづらいですし、細かいお金の話などもしにくい。それこそ、心を開ける相手といえば、下積み時代から身近にいるごく限られたスタッフか、それとは逆に、仕事とは縁遠く、利害関係のないプライベートで信頼感を抱いた人物などに限られます。そういう意味では、ミュージシャンは特定の人物への依存度が高く、“洗脳”されやすい環境にあるとも言えます。自分が弱っている時に、信頼している相手に心の隙を突かれ、利用されたりするケースは、程度の大小こそあれ、そこそこあると思いますよ」(前出の芸能事務所マネジャー)

 aikoは法廷で千葉被告に対して「ちゃんと心の底から反省してほしいです」と述べた。この言葉は、千葉被告の胸に届いたのだろうか。

(立花茂)

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立花茂

立花茂

東京都出身。大学を卒業後、スポーツ紙の芸能記者として活躍。その後、週刊誌や月刊誌、ニュースサイトなどでも記事を執筆。得意ジャンルは芸能だが、取材対象はアニメ、競馬、プロレスなど多岐に及ぶ。最近はweb3.0にも興味あり。

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