バッキンガム宮殿のバルコニーに立つキャサリン妃(中央)=AFP/アフロ
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 6月15日、君主の公式誕生日を祝う一大イベント「トゥルーピング・ザ・カラー」が行われた。これはイギリスの天候が比較的良好な6月に催すのが恒例で、多くの兵士、馬、楽隊が見事なパレードを繰り広げた。

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 チャールズ国王(75)は昨年、騎乗して閲兵したが、今年はがんの治療中であるため、カミラ王妃(76)と共に馬車に乗ってバッキンガム宮殿から式典会場に向かった。

 注目を集めたのがキャサリン皇太子妃(42)だ。昨年12月クリスマス礼拝に姿を見せてから173日ぶりの公の場への登場だった。バッキンガム宮殿からジョージ王子(10)、シャーロット王女(9)、ルイ王子(6)と馬車で出発したときは、沿道の人たちから大きな歓声と拍手がわき上がった。妃は幾分やせたように見えたものの、窓に顔を寄せるようにして手を振った。「皆さんに会えてうれしい」との気持ちが伝わるほほ笑みだった。

 キャサリン妃は式典の前日午後6時に出席を公表した。ぎりぎりの判断だったのだろう。妃は声明の中で、まず国民から寄せられたお見舞いや激励の手紙にいかに元気づけられたかを述べた。ウィリアム皇太子(42)と自分にとって大きな力になったと感謝した。また病気の経過については「順調である」と伝えた。しかし、「good days(良い日)」と「bad days(悪い日)」があると率直だ。さらに、体調が悪い時には体を休めることを自分に許している、まだ森の中にいて(危機を脱していない)治療にはまだ数カ月かかる、1日1日を大切に見守り、できる仕事は自宅で行う、と続けた。「夏にはいくつかの公務に出られたら良い」との言葉もあった。

 冷静に病状を説明、さらなる理解を求め、今後の希望を述べた妃の声明は、「勇気があるし、正直だ」「自分と国民との関係を明確に捉えている」と称賛された。自分を哀れみ同情を買おうとするような言葉遣いはいっさいなかった。

 何よりバッキンガム宮殿のバルコニーに立った時には、チャールズ国王のすぐ隣だった。昨年は国王の隣はウィリアム皇太子だったのである。国王は以前より妃を「愛する義理の娘」と呼び、親しみを隠さなかった。同時期に同じ病院に入院中は、国王は何度も妃の部屋に見舞いに訪れた。妃は、この日国王に謝意と祝意を伝えたかったのだろう。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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