「特に、胸痛、胸が圧迫されるような苦しさ、急な息切れや呼吸困難、ふらつき、頭痛、痺れ、ろれつのまわりにくさ、めまい、力が入らないなどの症状があれば、速やかに救急車を呼ぶべきです」

 ただし、本人は緊急性のある症状と感じても、そうではないことはもちろんある。

「たとえば、循環器で緊急性のある病気に心筋梗塞があります。その代表的な症状に胸痛がありますが、『ここが痛い』と指でさせるような場合は、肋間神経痛であることが多い」

 また、典型的な症状とは異なる症状でも、緊急性が高い場合もあるという。

「心筋梗塞では放散痛といって、あごや肩に痛みが出ることもある。高齢者は痛みを感じにくくなるため、何となく元気がない程度のこともあります」

持病の有無も判断材料

 だから、と伊賀瀬教授は続ける。

「本人や家族が不安を感じていたり、『これはおかしいのでは』と思ったりする状況なら、救急車を呼んでください。高血圧や糖尿病、脂質異常症など持病があるかどうかも、救急車を要請すべきかの判断材料になります」

 前述の神戸百年記念病院総合診療科の高田部長は、こうも提案する。

「持病がある人、特に心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める高血圧、糖尿病、脂質異常症など動脈硬化につながる持病がある人は、かかりつけ医に事前に『どういう症状があれば救急車を呼ぶべきか』と確認しておくのも一つの手です」

必要な人が遠慮せず呼べるように

 高田部長は、救急車の有料化についてこう話す。

「良識的な人ほど、自分の症状が救急車の適正利用に該当するのかと考え、呼ぶのを遠慮してしまう傾向がある。有料になれば、そうした人の心的負担が軽減し、本当に救急治療が必要な人が、遠慮せずに救急車を呼べるようになるのではないか」(高田部長)

 救急車を呼ぶべきか迷ったら、「#7119(救急安心センター事業)」もある。医師、看護師、トレーニングを受けた相談員などが24時間、年中無休で対応をしている。

「医師会に所属する医師が中心となって対応している休日・夜間診療所に電話するのもいい」(同)

 判断に迷う際、どこに連絡すべきか、元気な時に確認しておこう。

(ライター・羽根田真智)

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