――仕事と子育ての両立において、周囲に気を遣ったり、理解を得られないなと感じることはありますか? たとえば男性とはやはり感覚が違う、など……。
男女の差というよりは、人によって共有できる話題が違うという感じはあると思います。「この人とは仕事の話はできるけど、子どもの話はできない」とか、いろいろと住み分けがあるというか。性別にかかわらず、キャリアの話ばかりに花が咲く女性もいるし、家庭の話ができる男性もいますからね。ただ私は「お父さん、お母さんの役割ってあるよな」と思うタイプで。そういうのは古いのかもしれないけど、自分が母子家庭で育ったから余計にそう思うのかもしれないですね。実際、今の私は「父親と母親、両方の役割をやっているんだな」と感じるので。
母の明るさに何度も救われた
――阿部真央さんは今年デビュー15年。当初からのファンの方は30代前後が多いと思うし、ライフステージも変化している時期ですよね。
そこにも大きく二つあって。「結婚しました」「子どもが生まれました」という声は2年くらい前から増えているんですけど、20代後半あたりの人たちは「転職しました」「独立しました」というキャリアの変化を迎えている方もけっこういるんですよ。アラサーの女性は人生の岐路に立っていることが多いし、「今年は忙しくて、ファンクラブイベントに行けません」という声があったり。そういう人たちには「がんばって!」という気持ちを遠くから送っています(笑)。
――一緒に年月を重ねてきたし、「これからも一緒にがんばろう」という気持ちも?
それはすごくありますね。さっきも言ったように状況は人それぞれ違うと思いますが、私が元気に活動を続けることで、「こういう人生もあるよ」というのを見せていけたらいいなという気持ちもあるので。私自身は「やっぱりお母さんは笑ってないとね」と思っているんです。ウチの母がまさにそうで、めっちゃ笑う人なんですよ。「お金? ないけど何とかなる!」みたいな(笑)。その明るさに何度も救われたし、お金はない家庭だったんですけど、「自分は貧しい家の子だ」って思ったことは1回もないんですよ。私がグレずに済んだのは確実に母のおかげですね。