AERA 2024年6月17日号

 昔はこういった取材を受けていても、写真がかっこいいかかっこよくないかということを気にするくらいで、仕組みや意味なんて全然わかっていませんでした。でも今は、何でその仕事をやっているのかも含めて、世の中の仕組みが理解できる。だからこそ、時間とお金を割いて自分のライブに来てくださるファンの方たちに対する感謝の気持ちが募っています。デビュー当時とは感謝の重みが違います。

――感謝の気持ちが高まる中で、ある言葉に出合い、強く共感したという。

今市:経営の神様と呼ばれる稲盛和夫さんが2022年にお亡くなりになったとき、稲盛さんが人生の指針にされていた「敬天愛人」という言葉が気になって調べてみたら、西郷隆盛の座右の銘だと知りました。僕の父は鹿児島生まれで、隆二の「隆」は西郷隆盛から取ったということもあり、すごくシンパシーを覚えたんです。それ以来、天を敬い人を愛することを人生の目標にして、良いことも悪いことも愛したうえで、人を思いやることができる人間になりたいと思うようになりました。

生身の人間として勝負

――「誰かの役に立ちたい」という思いは、具体的な行動に結びついている。

今市:まだ小規模ではありますが、難民支援の活動をやっていたり、先日は能登に炊き出しに行ってきました。少なからず名前を知ってもらっているのであれば、自分が動くことで喜んでくれる人がいるような活動はするべきだと思っています。友だちに何かをして感謝されると嬉しいのと同じで、人のために何かをすることは、自分のために何かをする以上のパワーが生まれると思うんです。

 ライブでも、ファンの方の応援のパワーを体感すると、心が洗われたような感覚になります。いくら時代が変わっても人間は一人では生きていけないですし、人と人との結びつきは変わらない。4月から5月にかけて行ったホールツアーでは映像を駆使して世界観を作り込みましたが、6月末からのアリーナツアーは生身の人間としての直球のパフォーマンスで勝負しようと思っています。

(ライター・小松香里)

AERA 2024年6月17日号より抜粋

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