そんななか、今も現役で活躍する国鉄型車両が、国鉄時代を知らない若い世代にまで人気を集めているのだ。

【JR西日本】381系特急やくも/クリーム色をベースにした「国鉄色」。先頭車両には、国鉄特急のシンボルマークの金と銀の逆三角形が輝く。6月中旬で定期運転は終了

昭和レトロが新鮮

 小湊鉄道開発部の西山湧大さん(32)は言う。

「小湊鉄道は、里山の風景が広がる中を国鉄時代の列車が走っています。列車は結構揺れますし年季も入っていますが、それが逆に非日常的で特別に感じてもらえるのではないでしょうか。乗客は20代、30代の方も少なくありません。若い世代には、昭和レトロで新鮮だと感じられるようです」

「115系」も、そんな国鉄型車両の一つだ。

 1963年に登場し、国鉄末期の83年まで、合計で1921両がつくられた。日本全国の直流電化路線で活躍し、近郊型電車の代表格とされた。特にJR東日本の中央線では、約50年にわたり走り続けた。半自動機能の扉に、4人掛けのボックスシート。床下からは、大きなモーターのうねりが聞こえる。

 老朽化に伴う新型車両への置き換えで次々と消えていったが、今も長野県北部を走る第三セクター「しなの鉄道」で走っている。同鉄道では、JR東日本から譲渡された24両を保有し、多くのファンが訪れる。

 機関車「EF65」も、乗ることはできないが人気の国鉄型車両だ。

 デビューは1965年。79年までの14年間に、国鉄の電気機関車としては他に類を見ない、308両もの車両が製造された。「青い名機」と言われ、ブルートレイン(寝台特急)をはじめ、多くの客車を引っ張り、全国を駆け回った。だが新幹線の延伸や、高速バスの台頭などで機関車が牽引する寝台列車が無くなり、活躍の場は減った。それでも、貨物列車や臨時列車、工事列車の牽引機として活躍している。

 鉄道ジャーナリストの松本典久さん(69)は、国鉄型車両の魅力は、「量産されて、安心して乗車できる」ことにあるという。小学校に入学前から「鉄ちゃん」だった松本さん。よく乗ったという急行用気動車の「キハ58形」は、非冷房車が多かったが、窓から入る風を受ければ気にならず、エンジン音もたくましく感じたという。

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