客席は見渡す限り日本人で埋まっているが、大概の歌手は最初から最後まで片言の英語であいさつをする。最前列には日系企業に勤める西洋人のアシスタントらに座ってもらい、舞台上の歌手に花束を渡してもらう演出がなされたこともあった。

「〇〇さん、カーネギーホールデビュー大成功!」という華々しい報道は、実はこうした現地日本人コミュニティの涙ぐましい協力があって体裁を整えてきたのである。

 今回最初から日本人コミュニティに、と言って招待券を配ってくださった池田氏は、こうした現地事情をきちんと理解していたのだろう。村田氏のリサイタルは中ホールだったので席はよく埋まったし、最後は日本語であいさつもしてくださって、好感度の高い公演だった。この円安の中でよくぞはるばる来てくださった、とお礼を申し上げたい。

アンコールに応えて笑顔で挨拶する村田氏と尾崎氏

(現地ジャーナリスト・田村明子)

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