菜香新館 神奈川県横浜市中区山下町192/営業時間11:30〜20:45L.O.(土日祝11:00〜)/定休日:第2火(祝日、8・12月は営業)(撮影/加藤夏子)
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横浜中華街の広東料理の名店「珠江飯店」(閉店)の系列店で、香港から点心師を呼び、飲茶を中心に提供。「北京ダック」(1巻750円)は肉付きの皮をキュウリとえびせんと一緒に巻いて食感を楽しむ独自のスタイル。「チャーシューまんじゅう」(2個440円)は甘辛いタレが絡むチャーシュー入り。卵がたっぷり入った「マーライコー」(280円)は創業当時のレシピを受け継ぐ懐かしい味。税込み。(撮影/加藤夏子)

 7日放送の「酒のツマミになる話」(フジテレビ・毎週金曜午後9時58分)のゲストは、IKKO、おぎやはぎ・小木博明、モデルの香音、コットン・きょん、ゆうちゃみが登場する。ゲストのひとり小木博明は「子どもは甘やかした方がいいですよね?」と切り出し、甘やかすという小木に対しIKKOはもっともな意見で論破! そんなIKKOにまつわる過去の人気記事を振り返る。(「AERA dot.」2018年7月29日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)

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 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は美容家・IKKOさんの「菜香新館」の「北京ダック」ほか。
 

 あれは19歳で福岡から横浜に出てきて、元町の美容室に住み込みで働いていた時のこと。仕事が満足にできず、毎日叱られっぱなしで……まずはシャンプーの指名でトップになれるよう頑張りました。そんなある日、当時中華街で人気だった「珠江飯店」の名物ママが、初めて私を指名してくださったんです。これがご縁で、お店や系列の「菜香」に伺うようになりました。「菜香」は中華街でもまだ珍しかった飲茶を出していたんです。

 初めて食べた北京ダックは衝撃的でしたね。お金がないから2巻きだけいただいて。チャーシューまんじゅうのふかふかの生地と甘辛いタレも印象的でした。蒸したてのマーライコーは、手でちぎって食べると口の中で溶けてく感じ。私にとっては修業時代に食べた心に染みる“涙の味”っていうのかしら……。

 当時の中華街のママたちには本当に良くしていただきました。決して涙を見せず、つねに喜びや感動を与えるおもてなしの心を持つこと。この教えは私の中で一生の糧となっています。

(取材・文/今中るみこ)

週刊朝日  2018年8月3日号