富士山火山防災対策協議会は昨年3月、「富士山ハザードマップ」を17年ぶりに改定した
富士山火山防災対策協議会は昨年3月、「富士山ハザードマップ」を17年ぶりに改定した
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 5日放送の「もしも今…富士山が噴火したら!? ニッポン超緊急事態シミュレーション チョコプラ」(TBS・午後9時)は、富士山が大噴火したら、停電、断水、交通機関ストップ、スーパーからものがなくなる!?などを検証し、大災害から生き残る方法をチョコプラ&佐野勇斗が徹底調査する。そんな富士山噴火にまつわる過去の記事を振り返る。(「AERA dot.」2022年5月3日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)

【富士山がもし噴火したら溶岩流はどこまで? 到達可能性の地図】

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「溶岩流が迫っているときに徒歩避難は現実的ですか?」。今年3月、富士山が噴火した際の住民避難の基本方針をまとめた報告書に対して、困惑の声が上がっている。静岡県、山梨県、神奈川県と国などで組織する富士山火山防災対策協議会は溶岩流が3時間以内に到達すると予測された市街地では、車での避難としていたこれまでの方針を大きく転換し、「一般住民は、徒歩での避難を原則」とする中間報告を発表した。なぜ、徒歩避難なのか? 中間報告書をまとめた富士山火山広域避難計画検討委員会委員長の藤井敏嗣・山梨県富士山科学研究所長(東京大学名誉教授)に聞いた。

 昨年3月、富士山火山防災対策協議会は「富士山ハザードマップ」を17年ぶりに改定した。マップが示す富士山噴火時の避難対象エリアは静岡県、山梨県、神奈川県の27市町村におよび、約81万人が暮らす。想定火口範囲は従来よりも広がり、溶岩流が3時間以内に到達すると予測された地域の住民は約11万6000人と、これまでの約7倍に増加。人口密度の高い富士吉田市と富士宮市の市街地も含まれている。

 富士山火山広域避難計画検討委員会が、避難の際、車を使用する従来の計画を新たなハザードマップに基づきシミュレーションした結果、市街地で深刻な渋滞が発生し、逃げ遅れる住民が出る可能性が明らかになった。そのため、今年3月に出された中間報告書は地元自治体に避難計画の根本的な見直しを求めるものとなった。

「避難」うまく伝わっていない

 ところが、「徒歩避難」の原則をメディアが伝えると、SNSには困惑の声が上がった。

<溶岩流が迫っているときに徒歩避難は現実的ですか?>
<溶岩が到達しないところまで避難する途中で力尽きそう>
<徒歩? 高齢者は置き去りってこと?>
<高齢者や子どもといっしょに避難したらどこまで避難できる? 1日数キロの移動だってできるかわからない>

 それについて、藤井さんは、こう語る。

「全住民に遠くまで歩いて避難してほしい、なんてことは言っていません。メディアの方には詳細を解説して、納得していただいたはずなのに、報じられた記事はそうなっていない。うまく伝わっていないですね」 

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溶岩流を正確に予測できた