昨年改定されたハザードマップには、人口約25万人の富士市の市街地にも溶岩流が到達する可能性が描かれている。平野部では溶岩流は広がる。逃げ遅れる人が出ないのだろうか――。

 それに対して、藤井さんは「十分に避難できるはず」と答え、根拠として4年前に噴火したハワイ島のキラウエア火山を例に挙げた。

「このときのハワイの噴火は、富士山の過去5600年間の噴火で最大規模だった貞観噴火(864年)とほぼ同じ溶岩の広がり方だったんです。しかも、ハワイでは住宅地の真下から溶岩が噴き上げて、海まで流れ下った。しかし、一人のけが人も出すことなく、きちんと避難できた。つまり、傾斜が緩やかになるほど溶岩流の速度も落ちますから、溶岩流が迫ってから避難のアナウンスをしても十分に逃げられたわけです」

 今回の中間報告で示された方針を基に、具体的な地域防災計画は各自治体が作成することになっている。

「遠くまで逃げ惑う必要はないわけですから、各自治体はそれぞれの地域の実情に合わせて適切な避難方法を防災計画に盛り込んでいただきたいと思います」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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