仕方なくテントは畳んだが、納得いかなくて後日、学生生活課に行った。すると校則に「キャンパス内でテント禁止」とどこにも書かれていないことがわかり、大学側も「黙認」ということで決着したという。
テントを張るのは、基本的に毎週金曜日の午後。
記者が訪れた5月下旬は、テントに7、8人の学生が集まっていた。めいめい話をしたり、本を読んだり。そして講義の時間になると教室に行き、終わるとまた戻ってくる。
テントを張ったのはまだ数えるほどだが、手応えを感じている。Xのフォロワー数は700を超え、SNSで見たという学生たちがテントに立ち寄ったり、お菓子などの差し入れをしてくる。この日は、同大の教授が「頑張って」と言って1万円のカンパを八島さんに手渡した。
八島さんは、大学側にはこんな思いを抱く。
「ロシアのウクライナ侵攻に対して、青学は青山学院として抗議声明を出しました。けれど、イスラエルのガザ侵攻には何の声明も出していません。イスラエルに対して沈黙するのはダブルスタンダードです」
同好会では、大学に声明を出すよう求めるオンライン署名を集めていて、6月下旬に大学に提出する予定だという。
日本のZ世代は社会運動に関心がなく、おとなしいと言われますが? そう聞くと、こう言った。
「社会運動に関心があるZ世代の若者や大学生はもちろんマジョリティーではないですけど、大人が考えているより少なくないと思います。行動する時間の余裕がある私たち大学生が、声を上げて動かないといけないと思います」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2024年6月10日号