「他の大学でも、同じ大学生が動いてるのがすごい勇気づけられます」。テントを張っての抗議活動は、「やれるまで頑張ります」(撮影/編集部・野村昌二)
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「会いたい人に会いに行く」は、その名の通り、AERA編集部員が「会いたい人に会いに行く」企画。今週はガザ侵攻に抗議しキャンパスにテントを張った学生に、「新人類」世代記者が会いに行きました。

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「我慢できなくなり、ブチ切れました」

 そう話すのは、青山学院大学国際政治経済学部4年の八島望さん(22)。

 米国の100を超す大学でイスラエルのガザへの攻撃をめぐりテントを張った抗議運動が広がる中、日本の大学でも抗議の動きが広がっている。青山学院大学もその一つだ。

「国際政治経済学を学んでいながらこのまま何もしなかったら、『国際政治経済学部を卒業しました』と、恥ずかしくて言えないと思って」

 と八島さん。元々政治や社会問題に関心はあったという。とは言え、大学では軽音サークルでギターを弾いていた音楽好きの普通の「青学生」。それが自分でも驚くほど変わったのは、SNSやテレビでガザの惨状を見たからだ。

「子どもたちがあんなに殺されていて。なんでそんなことをするんだ、って」

 それで「ブチ切れた」。昨年11月、渋谷で行われたイスラエルへの抗議デモに初めて行った。他大学の学生も多く参加していて、話をするとみんなガザ侵攻に抗議する何かしらのアクションを起こしていた。

 私も青学で何かアクションを起こしたい──。

 今年2月、一人で「青山学院大学立て看同好会」をつくりSNSで発信を始めた。4月上旬、大学のキャンパスで、地面に横たわる抗議デモ「ダイ・イン」を企画した。が、事前に計画を知った大学から「政治的実践活動は禁止」という連絡がきて断念した。しかし諦めず、2週間後、仲間と一緒にキャンパスの中庭の芝生にレジャーシートを敷き、パレスチナ関連の本を読んで抵抗する「本読みデモ」を企画した。そして、さらに米国の大学と連帯したいと思い5月10日、仲間たちと中庭に二つのテントを張った。するとテントを張って1時間後、大学の警備員と学生生活課の職員ら合わせて10人近くが来て八島さんたちを囲んで言った。

「風でテントが飛ぶと危ない。大学はキャンプ場じゃないから、テントはダメ」

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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