またオリックスも中嶋監督以前は大石大二郎(2008年途中~)、森脇浩司(2012年途中~)、福良淳一(2015年~)と頻繁にシーズン途中に指揮官を交代させ、大石と森脇は一時的にチームを浮上させたものの、結局は長くチームを強くすることはできなかった。現在低迷している中日も2016年途中に森繁和が監督代行となっているが、浮上することはできていない。これを見ても、一時的なカンフル剤とはなっても、チームを強くするのは球団全体の取り組みが必要だということがよく分かる。成功した古葉、中嶋の例を見ても、それ以前のドラフト補強で、飛躍する若手が揃っていたという点が大きかったことは間違いない。

 そういう意味で西武はファームなどを改革するなど球団としての強化を図っているのはプラスだが、一方でGMが監督を兼任するのはその役割を考えても避けるべきではないだろうか。監督だけでなく、中長期的なチーム強化の責任者をどうするのか。それが今後のチーム立て直しにとって大きなポイントとなるだろう。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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