さらに2022年、2023年とパ・リーグ3連覇を達成。長年下位に沈んでいたチームがここまで劇的に躍進した例はそれほど多くないだろう。今シーズンはエースの山本由伸(現・ドジャース)が抜け、宮城大弥も怪我で離脱するなど苦しい戦いが続いているが、ここからどう巻き返すかに注目だ。

 セ・リーグで近年成功した例と言えばヤクルトの小川淳司(現・GM)の名前が挙がる。2010年に高田繁監督が5月25日に辞任すると、一軍ヘッドコーチから昇格して監督代行に就任。その時点でチームは19の負け越しがあったものの、そこから快進撃を見せて最終的には4つの貯金を作り、4位まで押し上げて見せたのだ。その成績が認められて翌年からは正式に監督に就任し、チームは2位へと躍進している。

 一軍のヘッドコーチに就任する前は9年間二軍監督を務めており、さらにその前にはスカウトとしての経験があったことも、選手を引き上げるうえでプラスに働いた部分もあったのではないだろうか。2014年に一度監督を退任した後、2018年に再び監督として復帰。前年最下位だったチームを2位に押し上げている。監督として優勝こそなかったものの、6年間でAクラス3回、うち2位が2回というのは見事と言えるだろう。

 ここまでは成功した例を挙げたが、もちろん上手くいかなかった例もある。まず思い出されるのが1995年に阪神の監督代行となった藤田平だ。1995年シーズン途中、中村勝広監督の休養をうけて二軍監督から監督代行に就任。生え抜きのスターだったこともあって期待も大きかったが、チームは最下位に低迷したままシーズンを終える。翌年、正式に監督に就任し、若手の抜擢などに取り組んだものの、当時の阪神は暗黒時代の真っただ中で、チーム成績は一向にあがらず最下位に低迷。9月にシーズン終了を待つことなく解任となった。監督だけを交代させてもチームが強くなるわけではないということをよく示している事例である。

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代行監督は一時的なカンフル剤にしかならない?