営業部門と損害調査部門では力関係が歴然としていた。ディーラーに対し、きちんと査定して出した見積もりについて営業から「ディーラーから文句が来た。何とかしてくれ」と頼まれ、査定額を上げるといったことも珍しくないという。

 いびつな力関係は損保ジャパンの人事にも色濃く表れている。損害調査部門の経験が豊富な執行役員はほとんどおらず、取締役では西澤敬二会長くらいだった。

(文中敬称略。肩書は当時のもの)

※この問題の全容については『損保の闇 生保の裏』に記載しています。顛末については同書をご参照ください。記事は一部抜粋です。

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柴田秀並

柴田秀並

しばた・しゅうへい/1987年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。2011年、朝日新聞に入社し、現在は経済部記者。金融担当が長く、かんぽ生命保険の不正募集などを取材。社会部調査報道班に在籍中は国土交通省の統計不正や同省OBによる人事介入問題の取材にも携わった。著書に『生命保険の不都合な真実』(光文社新書)、『かんぽ崩壊』(共著、朝日新書)がある。

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