【千葉大学 情報・データサイエンス学部】前身の工学部情報工学コースの定員は79人だったが、100人に増えた。3年次にデータサイエンスコース、情報工学コースに分かれる(写真:千葉大学提供)
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 いま、既存の枠にとらわれない理系学部が続々と登場している。背景には何があるのか。AERA 2024年6月3日号より。

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 2024年4月に新設された学部にはどんな傾向があるのか。河合塾の主席研究員・近藤治さんは解説する。

「理系人材を育成するために、理系の学部を新設する大学が増えています。筆頭は成長分野である情報系・データ系学部です」

 ここ数年、滋賀大学や一橋大学など、データサイエンス学部の新設が相次いでいる。「データサイエンス」とは、情報の収集・分析を通じて、社会課題の解決を目指す学問のこと。

 千葉大学が今年新設した情報・データサイエンス学部の特徴は、「情報・データサイエンス×〇〇」だ。学部長の塩田茂雄教授は言う。

「総合大学の強みを生かして、看護や国際教養、園芸といった学びとコラボレーションした教育・研究ができます」

 同学部の教員は、情報やデータサイエンスの専門家はもちろん、同大学の看板である工学部デザインコース、看護学部、国際教養学部などから集まった。例えば、看護専門の教員が行うのは「データサイエンス×せん妄症状研究」。ベッドに取り付けたセンサーで睡眠のデータを計測し、病室の温度や湿度、電子カルテの情報などを組み合わせて、患者がせん妄状態(意識が混乱する状態)に陥る危険性を予測する。他にも「データサイエンス看護学概論」といった独自の授業が行われる。

「データサイエンスは発展途上の学問であり、幅広い可能性を秘めています。データサイエンスで社会を変えたい、チャレンジングな学生さんに来ていただきたいです」(塩田教授)

 もう一つ、注目されているのが、グリーン系学部だ。前出の河合塾の近藤さんは言う。

「とくに農学部は一昨年から人気です。注目されているのは、環境系、生物生産、食。SDGsを学ぶ高校生にはフードロス、環境問題が身近なのでしょう」

 18年に立命館大学が食マネジメント学部を開設して以降、グリーン系学部は広がりを見せている。

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