卒婚して1人になったら、肩の力が抜けた

――蓮舫さんのキャリアは、働く女性の一つのモデルケースでもあったと思います。ワーキングウーマンも多いAERAの読者に、働く女性のひとりとしてメッセージを。

 働く女性と言っても、いろいろな形があります。ダイバーシティーの中で上を目指すプレッシャーと闘っている人もいる。パート・アルバイトで働かざるを得ない環境で不安を感じている人もいる。「1人で暮らす」という選択も普通になってきたかもしれないけれど、そこには将来の不安という新しいプレッシャーが入ってきました。みんなそれぞれ状況が違うので、単一のメッセージを伝えるのは難しいけれど、どこかで諦めてもいいというか、力の抜き方を覚えてほしいなと思います。

 私、2020年に卒婚して1人になってよくわかったんです。家族の将来のために私が頑張らなきゃいけないみたいなプレッシャーから解放されて、すごく楽になって、なんだ、自分のことだけ考えてればいいじゃんって(笑)。そう思うと仕事に余裕ができたし、肩の力が抜けて国会質問でも余白ができました。

 みんな頑張ってきた経験は自分の中にあるんです。それ以上に無理をして頑張らなくていいんだと思うようになりました。キャリアとかそういうことじゃなくて、自分の生き方の豊かさを一番大切に考えていいと思います。

1967年生まれ。2004年、参議院選で初当選。内閣府特命担当大臣、民進党代表、立憲民主党代表代行、参議院国土交通委員長など歴任。現在、文教科学委員会理事、政治倫理審査会委員。都知事選への出馬を表明し、AERAの単独インタビューに応じた=2024年5月28日(photo 写真映像部・和仁貢介)

背伸びせずに、いま持っているスキルで臨む

――「強い」「怖い」とも言われる蓮舫さんのキャラクターからは意外な言葉です。

 よく辻元清美さんと合わせて「あの2人、怖いよね」って言われてきました。笑っただけで「何か企んでいる」って言われてね(笑)。私、国会の予算委員会では80分間くらい質問してるんです。その間、本当は総理と笑い合っている場面だってあるんですよ。でも、ニュースで使われるのは怒っているような10秒だけですから。

 私はこれから都知事を目指しますが、それは無理をするということではありません。いま持っているスキルで対応できますから。財政の洗い方も、それぞれの世代の都民がどんなことを求めているのかということも見えている。そこに答えを見つけていくのは背伸びをすることではないんだと思っています。  

(構成 編集部 川口 穣)

*6月3日発売「AERA6月10日号」では、蓮舫氏の単独インタビュー全文に加え、都知事選に臨む小池氏と蓮舫氏それぞれの政治活動や人柄などに迫る記事を掲載します。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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