都知事選への出馬を表明した蓮舫参院議員。小池都政への想いから自身の生き方まで素直に語った=2024年5月28日(photo 写真映像部・和仁貢介)
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 東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に無所属での立候補を表明した蓮舫参議院議員(56)が5月28日、AERAの単独取材に応じた。小池都政への評価、国政と都政への思い、働く女性へのメッセージなどを語った。

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「小池さんはかっこよかった」

――出馬を表明した5月27日の会見では、小池都政について「自民党政治の延命に手を貸す存在」であると位置づけました。蓮舫さんが「自民党に近い」とする小池百合子都知事(71)と戦うにあたり、まず強調しておきたいことは。

 8年前、自民党の衆議院議員でありながら都議会自民党を「伏魔殿」と評し、「都庁はブラックボックスである」と訴えて当選した小池百合子さんはとてもかっこよかった。しかし、8年経って振り返ったとき、やはり「七つのゼロ(※)」はどこへ行ったのか、と。東京で生まれ育ち、東京を選挙区とする参院議員として、残念ながらとても不信感があります。ペット殺処分ゼロなど、頑張ってくださっている部分もあります。しかし、介護離職はゼロになっていないし、通勤満員電車もなくなっていません。本当にゼロにしてほしいと思っていたことに手を付けていないのは、すごく残念に思っているんです。

 それにこの間、自民党との距離があまりにも近くなりすぎています。自民党返りですよ。その矛盾を問うことは選挙に挑むにあたっての基本軸です。

※七つのゼロ:2016年都知事選で小池氏が掲げた「待機児童、介護離職、残業、都道電柱、満員電車、多摩格差、ペット殺処分をゼロにする」との公約

単独インタビューに応じた蓮舫参院議員。「知事は国政でできないことができる」と語った=2024年5月28日(photo 写真映像部・和仁貢介)

国政でできないことが知事ならできる

――2016年の都知事選の際にも待望論がありましたが「やりたいことは都政ではなく、国の政治」と述べて出馬を見送りました。国政はやり切ったのですか。

 そうではありません。ただ、残念ながら国の政治はどんどん悪くなってきています。お金に対する感覚も絶望的なまでに鈍ってしまっている。自民党の裏金問題も、政治資金収支報告書を訂正して「はい、終わり」って、そんなことが許されますか。改革を先送りし、覚悟も反省もない自民党の姿勢には本当に怒りを覚えますし、悔しいんです。でも、いま野党である私たちには、法律案の修正の交渉能力はあってもすべてを改革する術はありません。近々総選挙があったとしても一気に政権交代することは難しいかもしれない。政権交代を実現しても、参議院では過半数をはるかに割っています。国会がねじれた場合の政権運営は厳しいです。

 一方、国会でできなかった政策でも、知事ならば「今」必要な政策をリーダーシップを持って機動的に実現できる。国政では法案を提出し、衆議院で審議し、参議院を通し、周知して施行するまでに最低でも1~2年はかかる。しかし条例ならば、知事がやると決め、議会で賛同を得られれば早くて次年度の予算で実現することも可能です。ものすごく俊敏性、機動性がある行政を担うことができる。それこそが知事の役割ですし、知事の仕事の魅力だと思っています。そして、それが国政に政策変更の要請をすることにもつながります。

2010年7月、行政刷新担当大臣としてAERA表紙に登場した蓮舫氏
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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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「私にはできます」 20年、行政改革にこだわってきた