選挙プランナー・松田馨さん(まつだ・かおる、左):1980年生まれ。地方選挙や衆議院総選挙など、300を超える選挙に携わる。また、無所属や新人候補の選挙も引き受け、高い勝率をほこる/フリーランスライター・畠山理仁さん(はたけやま・みちよし):1973年生まれ。「立候補者全員を取材する」をモットーに、国内外の選挙を取材。その取材の様子は映画「NO 選挙, NO LIFE」で見られる(撮影/写真映像部・上田泰世)

松田:僕は選挙妨害については、もう少し前から議論できたと考えています。2017年の都議選で安倍晋三首相(当時)が秋葉原で応援演説をした時、「安倍やめろ」のヤジを延々と続ける集団がいました。その場にいた方から聞いた話ですが、演説は聞こえないし、押し合いへし合いになってしまってその場を離れざるを得なかったと。選挙の自由妨害罪が成立したと思うんですが、あの時は安倍さんが「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と演説をしてしまったんですよね。それが問題視されメディアで大きく取り上げられましたが、もしあの発言がなければ、演説妨害が問題になったかもしれない。

畠山:そうですね。

松田:不信を覚える政治家もいると思うんです。でもその政治家は、選挙によってあなた以外の国民の付託を受けているということに対しては敬意を持ってほしい。気に入らないんだったら、妨害ではなく落選させればいいんです。今回のつばさの党のようなことが続くと、自衛のためにちょっとしたヤジも刑事告発せざるを得なくなるかもしれない。そうするとますます選挙が殺伐としてしまうので、もうちょっといい関係にしたいですよね。

畠山:本来、選挙は楽しいし、演説を聞きに行ったらエネルギーがもらえるものですからね。

(構成/編集部・大川恵実)

AERA 2024年6月3日号より抜粋

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