実は悠仁さまは、国内で紀子さま登山を重ね、高地での活動に耐えうる体力をおのずとつけていたという。例えば、2017年の春には、東京都最高峰、2017メートルの雲取山に登頂。翌18年、11歳の夏には、天空を突き刺す山容から「日本のマッターホルン」と呼ばれる3180メートルの槍ケ岳にも挑戦した。北アルプスに位置する槍ケ岳は、難所で知られる。

「紀子さまは、他の山で悠仁さまが経験を積み、体力も技術も十分耐え得ると慎重に判断し、槍ケ岳に挑戦なさっていました」(秋篠宮家の知人)

 つまり、いきなりブータンに行ったというよりは、「日本各地で経験を積んだ先に、ブータン訪問があった」(池谷さん)

 そして、悠仁さまの海外デビューがアジアの小国、ブータンとなった点にも意味があるようなのだ。

 ブータンは標高7千メートルを超える山岳地帯から、低い土地では亜熱帯の気候まで豊かな自然を持つ国。主食は米で、場所によっては日本の棚田とそっくりな水田風景も広がる。日本のマツタケや楢の木、針葉樹の茂る場所もある。

「つまり北海道から沖縄まで、縦に3千キロある日本列島の自然が、山岳王国のブータンには凝縮されているのです」(池谷さん)

 実際、ブータンの印象を尋ねられた悠仁さまは、「日本とすごく似ていると感じました」と答えている。

 ユーラシア大陸の中央に走るヒマラヤ山脈にあるブータンは、東西文化が融合する土地でもある。土地の人びとは、米を主食に、唐辛子とチーズの入った煮込みなどを食事としている。

「ブータンは、日本やタイを含む東洋の文化と、欧州のアルプスなどに見られる西洋の文化が混在し凝縮された国なのです」(池谷さん)

 アジアに位置する日本という国のルーツに触れる旅だったといえよう。

 日本の皇室は長い間、英王室や欧州を中心に「帝王学」のお手本としてきた。昭和天皇は青年時代、英国でジョージ5世の薫陶を受け、平成の明仁天皇もエリザベス女王の戴冠式に参列、欧米を回った。令和の徳仁天皇も、最初の海外経験は、学習院中等科時代のオーストラリア旅行だ。その後、2年の英国留学。秋篠宮さま眞子さま佳子さまをはじめ他の皇族も英国留学を経験している。

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