AERA 2024年5月27日号

 1月にリリースした「iDOLING」を制作していた時期がまさにそこに直面していました。これまで以上に「三宅健というアイドルとは何なのか」に深く向き合う経験をしました。この曲は2010年にMicro(Def Tech)と作った「“悲しいほどにア・イ・ド・ル”~ガラスの靴~」という楽曲のアップデートバージョンで、僕のアイドル人生で得た思いを投影した曲なんですが、Microと長時間話し合いながら、前作から14年経ったのかと考えたときに、ふと僕だけが取り残されたような感覚になった。自分を取り巻く環境は大きく変わっているのに僕だけはアイドルであり続けて、無論それは自分自身が選び取ったことですが……そんな様々な経験や葛藤が「THE iDOL」に昇華されているわけです。そういう意味で、このアルバムはファンに送った僕からの暗号でもあります。その暗号は「Ready To Dance」から発信し続けていて、なんとなくそこに気づいていた人は、今回のアルバムを聴くことで、やっと僕が伝えたかった暗号の全貌を解き明かせると思います。

時代は巡っても

――アイドルを取り巻く環境は多種多様に変化していく中、長きにわたりアイドルの最前線に立ち続けてきた。40代半ばにして、さらにアイドルとしての進化を模索する三宅が、自分に課していることはどんなことだろうか。

三宅:なんでしょう……スキンケアはしてますけど(笑)。

 でも意識的にアンテナを張って、常に新しい情報を逃さないように心がけてはいます。もちろん日本のダンスアイドルグループも、K-POPも観ています。市場調査をすることは自分の価値を知るためにも必要なこと。時はアイドル戦国時代、その中を生き抜いていくのはとても大変なことです。

 今はみんな目が肥えているから、つまらないと思われたら二度目は見てもらえない。常に上質なエンターテインメントを提供し続けないと、すぐにそっぽを向かれてしまう大変な時代ではあると思います。

 ただ、昭和、平成、令和と時代は巡っても、結局、アイドルという存在は残り続けているわけですよね。やはり僕はそこにもアイドルの可能性を感じています。アイドルには求心力があると思います。いろいろなことを動かせる力があると思うので、もっともっと自分の可能性を探っていきたいですね。短期的に消費されるアイドル文化をアップデートし、アイドルのもつ潜在的な可能性を追求していくことで、それが次世代のアイドルにとって、特に、“日本のアイドル”にとってより開けた未来を用意できるのではないかと考えています。

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