三宅健さんが6月5日に発売する新アルバムのタイトルは「THE iDOL」。「職業 アイドル」を標榜する彼が込めた思いとはどんなものなのか。AERA 2024年5月27日号より。
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――TOBE所属後初のアルバム「THE iDOL」は、すでにデジタルシングルとして配信しているSIRUP楽曲提供の「Ready To Dance」、Microプロデュースの「iDOLING」に加え、三宅が自らオファーしたWurtSら新進気鋭のアーティストたちと作り上げたものだ。
三宅健(以下、三宅):今回、特に若い世代のアーティストを中心にオファーしたのは、アイドルという仕事を30年やってきた僕が、新しい世代の人たちとコラボレーションすることで、また新しい自分の一面を発見したいという思いがあったからです。
リード曲「ホーンテッド」は、僕のイメージをいい意味で裏切りたいという思いでWurtSくんという若手のアーティストにお願いしました。僕が好きな彼の楽曲をリファレンス(参照)で出して「こういう楽曲を作りたい」とリクエストして。もちろん僕が示した楽曲をなぞるわけではなく、今の彼が僕とどんな曲を作りたいかということが加味されて生まれたものです。これまで僕がやってこなかったジャンルに挑戦しているので、このジャンルを僕の声でやるとこうなるんだという意外性を楽しんでいただける楽曲になったと思います。
とにかく僕の好きなものをジャンルレスに詰め込んだので、宝箱みたいなアルバムになりました。ごちゃごちゃしているかもしれないですけど、そこを楽しんでいただきたいです。そもそも、アイドルはジャンルレスな存在。そういう意味でも「THE iDOL」を表現できたかな、と。
苦しんだ期間あった
――自身の新たな可能性を探るのが「THE iDOL」の表軸なら、三宅の中にはもう一つの軸、「三宅健というアイドルとは何なのか」という裏テーマがあったと語る。
三宅:自分自身を題材に作品を仕上げたということですね。たとえば、いろいろなアイドルの方々がいる中で、少しの「孤独感」や「儚さ」、「寂しさ」みたいなものを僕の中に感じとって愛してくれるファンの方が多いのかな、という印象を持っていました。これまで僕自身も常にファンと向き合い、あらゆる場面で何をすれば喜んでもらえるかを考えて発信してきたし、アイドルであることに人生を捧げてきたつもりです。でも、TOBEでアイドルを続けていくことを表明した時に、ファンの人たちは三宅健そのものを愛してくれているのか、それともラベリングされた僕が好きなのか分からなくなって苦しんだ期間がありました。