10人に1人は“ペアーズ婚”で、婚活中の男女に「選ばれている」自負もある。
だが、利用者数の多さゆえの課題もある。
「若い世代の方が求めているのは、タイパ・コスパの良さです。ユーザーが急増したことで、『選びきれない』という悩みが出ています」(担当者)
そこで力を入れているのが、AIの活用だ。
趣味や価値観、心理テストなどをもとに相性の良さそうな人を提案。ペアーズ以外のアプリでも、メッセージの頻度を分析するなど、さまざまな機能を使って「マチパ」のいい出会いをサポートしている。
大阪府に住む看護師の女性(22)は、友人がアプリで出会った人と付き合いはじめたと聞いて、昨夏「with」に登録した。
「4人くらいとマッチして、そのなかの1人とデートしました。それが今の恋人です」
「近すぎ」がネックに
人見知りで、自分から話を切り出すことが苦手な女性にとって、理想の恋人は積極的に話題を振ってくれる人。営業職だという恋人は、自分が話すことも、女性の話を聞くことも上手だという。
「マッチする前に相手の趣味や性格を知ることができたので、こういう人かなという想像もしやすかったです。実際に会って趣味や仕事の話をするなかで、共通点が多いことにも気がつきました」
これまで交際した相手は、いずれも同級生や幼なじみといった身近な存在。本人のことはもちろん、交友関係などを知っている安心感はあったが、「近すぎる」ことがネックにもなっていた。
「自分のなかで『この人はこういう人だ』って認識ができあがって、言いたいことを言えなくなってしまうんです。友達からも『身近な存在の人と付き合っても、あなたは絶対続かない』と言われていました」
その点、アプリで出会った今の恋人には、これまでの交際相手には言えなかったことも臆することなく話せるという。
「コミュニティー内での恋愛を避けるためにアプリを使う人が増えています」
そう指摘するのは、未婚男女の本音を研究する「恋愛婚活ラボ」所長の伊藤早紀さん。特にZ世代と呼ばれる若い世代にその傾向が強いという。前出の女性のようにまっさらな状態で出会いたいケースや、コミュニティー内でのトラブルを避けたいといった理由があるようだ。