「法律を変えるためにはまず同性婚への『理解』が必要だとよく言います。でも国民の理解のための説明などなく変わっていく法律、たくさんありますよね。まず法的に認められれば、そこから同性婚への理解は広がるはずです。求めているのは平等。そこを踏まえた上で変えるべきことは変えるアクションを取るのが政治の役割だと思います」
性のあり方に関わらず、誰もが結婚するかしないかを自由に選択できる社会の実現を目指して活動する「公益社団法人マリッジ・フォー・オール・ジャパン(結婚の自由をすべての人に)」代表で、同性婚訴訟東京弁護団共同代表でもある寺原真希子さんも、地方自治体によるパートナーシップ制度の意義について、高く評価する。
「パートナーシップ宣誓の証明書等があれば二人が家族であると認めてくれるケースもあるなど、その関係性を示す補強材料になりうることや、地方の小さな自治体でも制度が導入されていることで全国各地に性的マイノリティーの方たちが暮らしていることが可視化されたことに、大きな意義があると思います。ただ、結婚と同じような法的効果は残念ながらないので、『パートナーシップ制度があるから同性婚は認めなくていい』ということにはなりません」
最近では同性カップルだけではなく、異性の事実婚カップルもパートナーシップ制度の対象に含める自治体も出てきているという。
「フランスでは『PACS(パクス/連帯市民協約)』という、性別に関係なく、成年に達した二人の個人の間で安定した持続的な共同生活を営むために交わされる契約の形があります。パクスにはある程度の法的な保護があり、カップルのあり方の一つとなっていますが、その前提として結婚制度が同性同士にも開放されています。日本でも結婚以外の選択肢を用意することは考えられますが、まずは現在の結婚制度を異性同士に限らず同性同士でも利用できるようにすることが切実に求められています」