
仕事を選ぶうえで、やりがいや働きやすさなども大事な要素だが、「好きだから」というのも忘れてはいけないポイントだ。自分の「好き」に向かって飛び込んだ、元NHKアナウンサーの内藤裕子さんが語った。AERA 2023年4月10日号の記事を紹介する。
【写真】内藤さんが母から教わったという「なすとひき肉のキーマカレー」
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情報番組「あさイチ」の初代リポーターだった元NHKアナウンサーの内藤裕子さんは、フリーに転身した今、「カレーアナ」と呼ばれている。
40歳でNHKを退局後、カレーの勉強を始めたが、趣味で終わらなかった。
よく食べるときは、朝、夜、そして翌朝。最近も2日に1回は食べる。食べたカレーの写真は、必ず「おつカレー!」と書いてインスタグラムに投稿している。投稿を始めて今年で5年。記録のつもりだったが、そのカレー愛が、テレビ朝日の料理番組「家事ヤロウ!!!」のスタッフの目に留まり、番組内でカレーの作り方を紹介するように。そして、レシピ本を出版するまでになった。カレー関係のイベントや番組にたびたび呼ばれて、カレーの魅力を伝えている。
「右手にスプーン、左手にマイクのカレーアナウンサーです」
もともと思い切りがよくて、元気がいいほう。でも、カレーの話をするときは「いつもより前のめりだね」と言われる。
内藤さんは取材に、いつものカレー用のスプーンを持ってきた。そして、食べ歩きしやすいデニムに靴、カレー愛を込めた赤と金のカレーコーデで登場した。
お気に入りのカレーを紹介してくれた。東京・渋谷ヒカリエの「コスメキッチン アダプテーション」のレモンとココナッツミルクのチキンカレーだ。
「ん~さわやかな香り! レモンの酸味が利いて軽やかでおいしいんですよ」

■母の生きた証し
でも、なぜカレー?
“カレー道”にのめり込んだ背景には、40歳を目前にした迷い、そして九死に一生を得る事故があった。
思えば、カレーがよく出る家庭に育った。父は週末にスパイスの香るカレーを作った。母はなすとひき肉のキーマカレーをよく作ってくれた。