3月にカナダ・モントリオールで開催された世界選手権。男子フリーの演技を終えた宇野は、満足そうな表情を浮かべていた(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
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 5月14日に都内で会見を行い、プロ転向を発表した宇野昌磨さん。会見の言葉から彼の競技人生をひもとく。AERA 2024年5月27日号より。

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 世界王者や五輪メダリストという結果を出したことで、寂しさも感じたという宇野。ジュニアの頃から「ゆづくん(羽生結弦)、ネイサン(・チェン)と対等に戦える立場になるのが夢」と宣言し、憧れの選手との切磋琢磨がモチベーションだった宇野にとって、世代の変化は肌にしみた。会見ではこう語った。

「ゆづくん(のプロ転向)、ネイサン(の長期休養)など共に戦ってきた仲間たちから取り残されてしまった気持ちがあって、そこから自分も引退を考えるようになったと思います」

 引退を決めたタイミングも、彼の美学に基づいていた。多くの選手は、五輪を節目に去就を考える。しかし五輪にはこだわらなかった。平昌と北京での言葉が、彼らしさを物語っている。

「五輪は特別なものは感じなかったです。(樋口)美穂子先生がこれまでで一番喜んでいたのが嬉しかったのですが、僕にとっては他の試合の銀メダルと違いはないです」(平昌五輪)

「五輪1大会目より変わった心境はあるかなと思いましたが、やはり『(結果より)もっと成長したい』という意思が強かったです。どの大会も、練習一日一日も、すべてが僕にとって特別な時間なんだと改めて認識しました」(北京五輪)

五輪に未練なし

 五輪だけでなく、毎日が特別。心からそう感じているからこそ、五輪という外的要因ではなく、自身との対話で引退を決めた。会見ではこう語った。

「ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への未練は、正直まったくないです。自分としては、これからまた自由にスケートをやれることの嬉しさがあります。ここまで毎日同じことを磨き上げられるというのは、自分のことなのであまり褒めたくはないですが、すごいことを成し遂げられたなと思っています」

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